木も建物もほとんどない平原に、無数の大きな平たい石が突き刺さっている。石片は36個あり、直径104mの円を描いて配置されている。元は60個あったのではないかと言われている。
ブリテン諸島のストーンサークルは、ここオークニー諸島が起源という説があるが、このリング・オブ・ブロッガーは、周辺の貴重な植生を守るため、発掘が行われていない。用途など、はっきりしたことは謎なのである。
この何もない大地に突然現れた奇異な光景は、何か神や宇宙人の仕業のようにも感じられるほどの神秘的なインパクトがある。
現地に赴いてみて驚いたのは、スカラ・ブレイのように海岸沿いでなく、湖畔だったことだ。
実は海岸沿いには、この地域特有のflagstoneと呼ばれるウエハスのように積層的で、取り出したり加工したりしやすい平たい石が剥き出しており、建材として運びやすい。
しかし、ここの湖畔にはそれが見えないため、どこからこんなに大きな石を運んできたのか?という疑問が湧き、より神秘性を感じる。
しかし、この周辺には集落跡や古墳などいくつもの遺跡があり、大量の同じ石材があり、壁のように立てられているものもあることから、この特殊な石が沢山取れるこの地域には、運んだり、加工したりする優れた技術があったことが伺われる。
また、かつては湖の地形も違った可能性もある。陸運か水運か…何らかの方法で石を運び出したのだろう。ここの岩は大きいものでも3mくらいの平たい岩なので、立てること自体は人力でも可能だろう。
それにしても、訪問時も強烈な風だった。雨も多いそうなので、この厳しい自然環境の中でのこの作業は、かなりの大仕事だったことは間違いない。
この周辺にいくつもある遺跡群は、果たして何を意味しているのか。
この圧倒的な風景と強風を作り出す、自然への畏敬の念は必ず関係していることだろう。
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