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『蘇(そ)』って知っていますか?

更新日:2023年3月2日

北海道教育大学 芸術・スポーツビジネス専攻准教授 福原 崇之


 みなさん。

『蘇』という食べ物のことを耳にしたことはありますか?

 『蘇』は現代の食べ物ではなく、古代

飛鳥時代の食べ物なのです。飛鳥時代といえば、史上初の女性天皇である推古天皇やその摂政として政治を支えた聖徳太子が活躍した時代です。7世紀末の文武天皇の治世に、天香具山の南では、飛鳥最大の蘇が作られた記録があるそうです。文武天皇は天武天皇の孫であり、聖武天皇の父である人物ですから、当時の飛鳥では多くの外国人が暮らしていて、彼等が中央アジアで誕生したといわれる、蘇の製法を伝えたのではないかと考えられています。しかし、当時誰もが蘇を口にすることができたわけではなく、貴族の食べ物であり、貴婦人の美容の滋味であったそうです[1]

 その原料は牛乳のみ。ゆっくりと特殊な方法で煮つめたチーズの仲間です。

現在では、古代飛鳥の都だった奈良を中心にいくつかのお店で販売されていますが、その中で今回は、「みるく工房 飛鳥」の『古代チーズ 飛鳥の蘇』を食べてきました。食感は、しっとりした柔らかい水分を含んだクッキーのような感じで、味はというとホットミルクの膜(?)のようでした。

 また、奈良パークホテルでは、宮廷料理「天平の宴」として、蘇や赤米、唐菓子などを中心としたフルコース料理や、茶粥や蘇など奈良の伝統的朝ごはんを提供しています[2]

奈良のケースでは、都の置かれた華やかな時代の主役であった貴族の食べていた蘇を現在に復活させることで、観光に大いに貢献しています。食文化は、その土地の歴史や風土に大きく影響されているものですから、煌びやかな天平文化と、その時代に食べられていた「蘇」の組み合わせが奈良の唯一無二の観光資源となります。このような「組み合わせ」を見出していくことが観光資源の掘り起こしのきっかけになるかもしれません。

[1] みるく工房 飛鳥 公式ホームページ http://www.asukamilk.com/ [2] 奈良パークホテル 公式ホームページ https://www.narapark.jp/




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