北海道教育大学 芸術・スポーツビジネス専攻教授 柴田 尚
2023年2月、秋田県北秋田市の伊勢堂岱
(いせどうたい)縄文館を訪れてみた。
秋田の縄文遺跡については、今から2年前、旅の途中で偶然に大湯環状遺跡を訪れ、自分の知らない北海道の古代の歴史との共通点を再認識させられたのだった。このできことが、「プロジェクトJOMON」構想のきっかけのひとつになったのだった。
秋田県は縄文遺跡の中でも、環状列石
(ストーンサークル)の聖地である。北海道にも忍路(おしょろ)環状列石など、いくつか知られているが、秋田はなんと全国の4割が集まっている。その中でも伊勢堂岱遺跡は、4つの大型の環状列石が一箇所に集まる唯一の場所として、国内では代表的存在だ。
しかしあいにく、訪れたのは2月。環状列石は雪の下で見られないことは知っていたのだが、屋内施設の縄文館は開館しているということで、それを目当てに訪ねてみたのだ。
建物は、そんなに大きくはないが、さすが世界遺産にも指定されていつ遺跡だけあって、しっかりした展示内容。驚いたのは、この地域の土器や土偶の造形力の高さである!特に土偶類は素晴らしく、一度見ると虜になるような中毒性がある。やはり、とても人気らしく、どこかのアイドルグループ選挙を連想させる48体の人気投票パネルが・・・。
そこで一位なのが、この写真の「笑う岩偶」なのである。(ちなみに岩偶は石の人形。土偶は土の人形)ちょっと意外なのは、この遺跡では絶対的センターの「板状土偶」(伊勢堂岱遺跡出土)がおり、その推しは特別で、入り口には2Mを超える大型模型が置かれている。ちなみに「笑う岩偶」は、近隣の白坂(しろざか)遺跡出土。まあ、地元とえば地元といえなくはないか。この絶対的な地元出身のセンターを3位に抑えての1位なのである。この「キン肉マン?」のような太古のスマイルがその勝因だろう。地元小学生による絵描き歌が子ども人気を証明している。
なんと北秋田市には、伊勢堂岱遺跡の他に、藤株遺跡、麻生遺跡、白坂遺跡、向様田遺跡など数多くの縄文遺跡があるそうで、それらも集結しているようだ。しかも、このメンバーの中には、「イギリスのストーンヘンジ特別展に貸出中」との表示がいくつも。なんと、海外進出も果たしている。
秋田の縄文文化、恐るべし。
参考
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